時代性に左右されず楽しめるゲームの持つ5つの特徴

 娯楽を享受するには、その時の時代状況とか環境が凄く重要な要素になる。どれだけ面白くても、最近の子供の間で、メンコが流行るとは思えない。もし流行るとしたら、べーゴマをベイブレードにするみたいなリニューアル作業が必要なのだろう。スチャダラパーのBOSEがゲームを楽しくする最高の周辺機器は「友人」って言ってたけどそれって本当にその通りだと思う。大人になるとその最高の周辺機器達となかなか同じ時間を過ごせなくなるんだよね。


 それでも、時代を超えて楽しまれる作品というのも少ないながらにある。そんな、ゲームの持つ特徴を考察してみよう。

特徴1 絵が完成されている

 ファミコンテトリスを思い出して欲しい、あのソフトにこれ以上加える絵的な要素はあるだろうか?時代を超えるゲームは、グラフィックがこれ以上なく洗練されているものなのだ。パックマンとか初期ナムコタイトルはどれも絵的にとても洗練されてるから、今でもちょっとオサレなレゲータイトルとして名前が上がりやすい。

特徴2 テキストが洗練されている

 どれだけ、ゲーム機の品質が上がろうと、テキストの質ってのは、テキストを書く人に依存するので、テキストが洗練されているゲームは、時代をヤスヤスと超えてしまうのだ。堀井雄二ファミコン黎明期に手掛けたタイトルは今やっても秀逸な理由はそこにある。犯人はヤス

特徴3 音楽が耳に残る

 ファミコン初期の音楽は、音源的な問題もあり、使える音が非常に少ないなかで、どうにか工夫して音楽を作るという非常に特殊な状況が生まれていた。しかし、えてして名作というものは、引き算の果てに生まれるものなのだ。ファミコン初期の一部の音楽には、引き算の果てに生まれる骨と皮だけで成立している。ミニマルミュージックの極北とでも呼ぶべきものが確かにある。これは、現代においても多くの人の胸に響くものになっているのではないかと私は思う。お勧めはやっぱマザーな。

特徴4 テンポがよい

 宮本茂のゲームが国境を超えて愛されるのは、彼のゲームのテンポが誰にとっても心地よいようにゲームが設計されているからだと思う。時間の自由度が、ユーザーに合わせて設計してあるのだ。あと、SFC時代のスクウェアのゲームはどれもとてもテンポが良かった(特にロマサガ2)。スクウェアは美麗な映像表現によってのし上がったメーカーだと思われがちなんだけど、実は映像以上に軽妙なテンポを売りにしたゲームを沢山だして、ユーザーから支持されたメーカーなんだと思う。だから、PS以降の容赦なくロードが連発するゲームを作りつづけたスクウェアが凋落するのは必然的な流れだったのである。
 

特徴5 その時代の空気を象徴している

 最後の特徴は、上の4つの特徴とは少し毛色が違う。時代の空気を象徴するようなゲームってのは、時代の流れとともに思いっきり色褪せやすい、しかし、その色褪せた按配こそが、そのゲームの味わいの一つになる場合もあると思うのだ。スターソルジャーやへクター`87あたりの高橋名人の人気絶頂期とともにあるゲームなんかは、内容は確かに色あせた部分が多々ある。しかし、だからこそ、若い人にも一度はプレイしてもらいたい。こんな黄色いトレーナー着たおっさんが、子供達(俺達)のヒーローだった時代が確実にあったのだ。リアルタイムにその洗礼を浴びた俺たちは、それらのゲームを今では涙なしにはプレイできないし、リアルタイムでは知らない人たちも、興味深い研究資料に触れるような気持ちで、ゲームをプレイできるのではないかと思うのである。

まとめ

 TVゲームというメディアは、小説とか音楽とかに比べると、ハードウェアの進化に引きずられるように、内容が激しく変化していくメディアである。そのため、昔のゲームには今ではプレイに耐えないものが多いのも事実だ。しかし、そのような中でも、時代を超えるクラシックとかスタンダードとでも呼ぶべきものは確かにある。ゲームとともに少年時代を過ごしてきたあなたなら、今改めて古いゲームに触れることで、新たに発見したり、感動することもあるのではないか?そう思いこのテキストをしたためた次第である。このテキストがあなたのこれからのゲームライフを少しでも豊かにしたのなら、これに勝る喜びはない。

補足

5番目の特徴は思いっきり時代に左右されてるわけですが、でも一旦風化してしまえば、その価値は固定されっぱなしですから、そういう発酵食品のような魅力としてお考え下さい。