SFC末期は暗黒期だったのか?

 SFCの末期はよく任天堂暗黒期みたいな言われ方をする。やれソフトの値段が一万円を超えてただのなんだのと良く言われてる。他にも、ロイヤリティをぼったくってたのではとか、初心会のひどいやり方なんてのもたまに言われてたりする。


 オイラには、流通のことやロイヤリティのことは良く分からないので、あくまで一ユーザー視点から、当時のことを振り返ってみよう。


 一ユーザーとしてのSFC末期(93〜95年頃)という時代ははっきり言ってゲームが面白過ぎる時代としか言いようが無かった。当時は完全にスクウェア黄金時代で、FF6、ロマサガ3、そして、なんと言っても当時のスクウェアの勢いを象徴するタイトルである、クロノトリガーと、未だに名作の誉れが高い作品がバンバン発売されていた。


 それだけではなく、ストリートファイター2から始まる格闘ゲームムーブメントは、隆盛を極め、ストリートファイター2ターボは300万本もの売上を叩き出し、帝王任天堂も、スターフォックススーパーメトロイドファイアーエムブレム紋章の謎ヨッシーアイランド、マザー2、スーパードンキーコングなど等、まさに円熟期と呼べるタイトルを次々に発売していた。


 そして93年あたりから徐々に流れつつあった次世代機の情報が、更に、オイラの期待を膨らませた。今でも充分面白いのに、ここからさらに未来は広がっていくのかと、当時のオイラは、ゲームの輝かしい未来というものを全くと言っていいほど疑っていなかった。


 だから、当時、如何に任天堂が酷い商売をしてたとしても、その時代を暗黒期と呼んでしまうのは、どうしてもためらいがあるのだ。っていうか当時のことをそんなあっさり暗黒期って呼べてしまう人って当時の時代をあんまり知らないで言ってないか?と思ってしまうのだ。


 そんなことを思う要因の一つに、当時は結構ソフトの値引きをしてたことを皆忘れてないか?ってことがある。PS時代になって、ソフトの値引きってのはあまり行われなくなったのだけれど、SFC時代ってヨドバシとかの量販店なんかだと、発売してすぐ2割引くらい当たり前じゃなかったか?だから一万円のゲームだって2割引で8000円くらいで買えてたし、中古ならもっと安く買えてた筈なんだけど。なぜかSFC暗黒期を語る人って意外とこの要素を見てはくれないのだ。オイラ的にはSFC時代のソフトって定価は一万円でも結局8千〜7千円くらいが標準的な価格帯だったと思うんだけれど。


 それでもSFCソフトの中には11400円とか、一万円を更に超えたソフトが発売されてみたりしたのは、確かに高過ぎの感はあったし、プレイステーション初期のソフトの価格帯、5800円というのは、衝撃的に安く感じられた。っていうかその値段につられて、オイラ当時まだ4万円くらいしたPS買っちゃってるし。


 でもこんな事実をあなたはご存知だろうか?セガサターンと同時に発売されたキラータイトルバーチャファイター」の最初の値段である。


 その値段はなんと8800円だったのである。高くない?いや、でも当時ゲーセンでハマり狂ってた人からすれば、サターンとバーチャ買えばやり放題ってのは、安いと思うし俺だってPS買ったのは、当時のゲーセンのタイトルの魅力ぶりってのが大きい。でもこの辺の中途半端感がやっぱりセガなのか…。


 でもこうやってSFC末期の11400円というある種の限界を超えたソフト価格(ちなみにFF6がこの値段でした)、サターンのバーチャファイター8800円という価格、それらと比較しても、やはり輝いて見えるのが初代プレイステーションの初期タイトル群の5800円という価格帯の安さだ。当時ゲーム業界初参入のソニーは、当時なんとなく一万円付近が当たり前だった風潮を完膚なきまで破壊したし、それ以外にも広告、流通など、いままでのゲーム業界の風潮をことごとく破壊し、あっという間に、トップにのぼり詰めてしまった。それはあまりに鮮やかな革命だった。


 改めて、当時を振り返ってみると、やっぱあの頃って面白過ぎる。あらゆるソフトハウスが輝きまくってた時代だった。だからそんな時代を任天堂の暗黒期って表現してしまうのは、どうも抵抗がある。あの時代は任天堂が暗黒だったってよりは、ソニー(SCE)が如何に優れていたのかを語ったほうが良いのではないだろうか?今ではすっかり誰も語らなくなってしまった久夛良木さん、及び当時のSCEを盛り立てたメンバーの功績を語るべきなのではないか?オイラはそのように思う。そんな久夛良木さん、及び当時のSCEの皆様にオイラから最後に一言。


 久夛良木健(当時は)お前がナンバー1だ