バイオハザード5が無くしたおもてなしの心

 現在バイオハザード5をプレイ中なんだけど、なーんか物足りない部分がある。アマゾンとかレビューサイトのレビュー呼んでみても皆さん妙にご不満が多い様子。その不満の内容について自分なりに思ったことを書いておく。


 バイオハザード5に足りないものは一言で言えばおもてなしの心である。前作バイオハザード4と比較してみればすぐわかる。それだけじゃあんまりにも抽象的だからもう少し具体的に言うと、バイオハザード5のメインの敵である。マジニさん達ってバイオハザード4のガナードさん達よりもリアクションが薄いんだよ。


 ってか俺がバイオ4好き過ぎて思い出補正入ってるかも?って思ってさっきバイオ4を再プレイしてみたんだけど、結果は一目瞭然でした。いやー、やっぱガナードさん達と戯れるのは楽しいッス。なんていうか皆あったかい。


 ガナードさん達はオイラのハンドガンの一発一発にそのつど足を止めてリアクションしてくれる。頭を狙えば頭を押さえて痛がってくれるし、足を撃てば見事にすっ転んでくれたり、見事なリアクション芸を見せてくれる。視界の外から近づいてきた時は、こっそりこっちに囁いてくれることで、居場所を教えてくれたりする。基本的にガナードさんたちって愛想がいい。


 それに対してマジニさん達って無愛想。こっちの合いの手(銃撃)に対するリアクションが淡白。特にチェーンソーおじさんにはがっかりした。バイオ4のチェーンソーおじさん(あとおばさん)は、こっちがきっちり狙ってあげればキッチリリアクションを返すし、こっちが狙いを外せば、キツイ突込みが待ってる。等価交換て感じ(ちがうか?)。あと細かい部分なんですが、盾を持った敵の盾が微妙に硬くなってませんかね?あれって、バイオ4では、盾を持つことで敵が固くなるっていう難易度的な変化と同時に至近距離でショットガンをぶっ放せば、盾が消し飛んで気持ちいいっていう、爽快感とセットで成立してた要素なのに、爽快感だけ落っことすような設定にしてどうすんのって感じですよ。

 
 もう少し踏み込んだ話をすれば、バイオ4がそもそも射撃時に身動きがとれない設定になっているのは、「狙う」っていう動作をより先鋭化させるためである。だからこそ「狙う」を正確に行えた場合のご褒美として、ガナードさんたちの一々的確な「リアクション」が返ってくる。そういうゲームデザインになっている。プレイヤーキャラに比べて明らかに武装が劣る敵キャラ(ガナード)を登場させることで、こちらが狙われるリスクはかなり低くしている。だから「攻撃を避ける」動作はゲーム中からかなりの部分取り除かれている。ガナードさんたちのリアクション一つとってもゲームシステム的な必然の元に導かれたものになっているのである。


 ギアーズオブウォーの場合は、プレイヤーキャラと敵キャラの武装が同等、もしくは敵側の方が、激烈な攻撃を加えてくるので、「狙う」という動作と「避ける」という動作をどちらも同等に重要な要素としてゲームをデザインする必要がある。だからこそのカバーアクションだし、撃ちながらの移動が可能な操作体系なのだ。


 バイオ5は結局プレイヤーに何をさせたかったんだろう?そこがボケてしまっているとしか僕には考えられないのだ。サバイバルホラー?TPS?COOP?ハリウッド風のCGムービー鑑賞?海外のゲームの良い部分を取り入れようとか思うのは全く構わないし、海外のゲームに負けない美麗なグラフィックを追求するのも悪いことではない。実際グラフィックのクオリティは海外の最高レベルのゲームと比較しても遜色ないレベルに達している。しかし、自分達で築きあげた最良の財産を自分達の手でドブに捨ててどうするつもりなのか、海外の開発会社や海外のゲームにコンプレックスを抱く前にやるべきことがあるのではないか、最後は少し真面目に怒っておく。