一発の重みと対象との距離、及び近代FPSのぶつかる壁について

 最近海外のFPSとかTPSとかプレイするようになって改めて思うんだけど、バイオ4ってやっぱすごくよく出来てる。


 その理由は大きく二つある。一つは連射の効く銃器をあまり登場させないことやサウンド等の銃器の演出に注力することで、一発撃つごとの重みを感じさせるようにしたこと、もう一つはゆったりとこっちに近づいてくるやさしいガナードさんたちを至近距離で撃ちまくれることだ。


 ゲームというのは、結局はボタンを押すことで何かをして、それに対するリアクションを得ることで、楽しさを作るメディアである。だからボタンを一回押すごとにきっちり弾丸が発射され、その結果を近い距離で確かめることができるバイオ4は何回プレイしてもゲームの根源的な楽しさを堪能することができる。よくよく考えてみると、プレイヤーを楽しませるために、主人公が特に努力しなくてもモテまくるハーレム漫画のごときプレイヤーにとって都合の良いシチュエーションが組まれているんだけど、まあゲームなんだからそれでいいんだと思う。


 それに対して、近代的、もしくは近未来的な戦場を模した昨今のFPS/TPSが陥ってる問題は、まさしくバイオ4が持つ美点の裏返しで、過酷な戦場を生き残るなら、できるだけ連射が効いて装弾数もたっぷりの銃器が良いし、敵を撃ち殺すならできるだけ離れた位置から撃った方がこっちも安全で良いってことなんじゃないかと思う。一発撃つごとに生々しいリアリティを感じてたり、至近距離から射撃したときのリアクションを一々楽しんでたら戦場ではすぐ死んでしまうのだから。


 初めてCoD4をプレイしたときは画面にちっさく映るモゾモゾと動く物体を速やかに射撃するゲームって印象を受け、ゲームの進化の行き着く先が、ドットの変化を敏感に読み取って、射撃するゲームなのかと軽く絶望した。でもそう感じる原因の半分以上は、当時の自宅のTVが14インチだったってことに気付いて立ち直った。そしてテレビを買い替えた。


 ギアーズオブウォーをプレイした時は、銃を撃つ快感よりも、クイックリロードをキッチリ決めた時や、やたらキビキビとマーカスさんが動いてくれるカバーリングアクションをしてる時のほうが、ボタンを押すことでの操作の快感を得られた。あと至近距離でのチェーンソーはすごく良かった。おもしろポイントが銃を撃つこと以外に散ってないかともちょっと思った。面白いんだからまあいいんだけど。爆発する弓とかドーンハンマーみたいな架空武器は一発の快感が得られるんですけどね。


 絶望から立ち直ったあとのCoD4にしても一番印象に残ったのは、ラストシーンの例のハンドガンでラスボスを仕留めるとこだった。近代戦闘を売りにしたCoD4のシングルモードのラストを締めくくる武器がハンドガンって、すごく皮肉な結末のように自分には思える。あのラストシーンはゲーム史に確実に刻まれるべきラストだと思いますけどね。あとモサモサしたスーツを来て敵地に潜入しながら敵キャラを適宜狙撃していく所はすごく良かった。狙撃っていうのは近代戦でも一発の重みとスコープで拡大されることで、敵キャラのリアクションも確かめられるとても良い攻撃方法だと思います。50口径で一発で決めなきゃ成らない狙撃のシーンは最高でした。


 フォールアウトのFPSRPGを融合させたようなシステムってのはこの辺の問題点への答えの一つでもあるんだろう。時間を一時停止して、狙う先をじっくり選ぶことが出来るし、攻撃が命中すると、スローモーションでやられっぷりが再生されたりする。レイダーさんたちをキッチリ地獄に送ってる実感が得られる。


 そんなこんなで、近代FPS、TPSのぶつかる壁と、それに対してどんな対処法がなされているかという話だったんですが、やっぱこうやって改めて振り返ってもバイオ4最高って思っちゃうんだよな。信者とでもなんとでも呼んでくだせえ。シングルモード限定なら未だに最高レベルの面白さだと思う。さすがにグラフィックはヘボく感じるけど。結局「一発の重み」と「対象との距離」の二点に最良の解を提供してるのはこれなんじゃないかなあ。村をうろつきながらハンドガンでパスパスガナードさんたち撃ってるだけですごく楽しいもの。一番へぼい武器でも、ミニマルな心地良さを与えるようにするあたりは、日本のお家芸って感じもする。このへんのミニマルな快感についてはまた別に記事書く。でもちまたで評判の高いバイオショックをまだやってないんでもしかしたらこれがバイオ4を超える一本になるのかもしれないんだけど。


 でも実はもう一つ、自分の考える「一発の重み」と「対象との距離」の問題に最強の解を出してしまったゲームが存在するのです。そのゲームとは、ずばりラブプラスです。


 ラブプラスのスキンシップモードを主観視点のFPSとして捉えてみましょう。「一発の重み」、「対象との距離」どちらもバイオ4級、いやそれ以上ではありませんか?はい、ということで、明日ヨドバシ言ってラブプラス買ってきます。今日も近くのゲーム屋では売ってなかったのです。