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FF15はF1マシンすらぶち抜く大型トラック車になろうとしていないか?

私は一応ゲーム業界で働いており、もう10年以上ゲームを作り続けているのだけど、私なりに考えるある程度規模の大きなゲームを作る上で最も大事なこと、それは、リソースマネジメントだと思っている。


リソースマネジメントとはどの工程にどの程度の時間を割くか、どのデータにどれくらいのメモリを割くか、どのステージにどれくらいの人数を表示させるかなど、ゲームを作る上でのリソースの限界を見極めた上でそれをどの程度配分するかを決める作業のことだと思って欲しい。


よく美談のように、「見えない部分まで描きこみました!」みたいな話があったりするが、メモリや処理速度が間に合った上でそのような作り込みを行うなら全く問題は無い。だが、メモリや処理を無駄に食った上でそのような話をする奴がいたとしたらそいつは真っ先に斬首にすべきだろう。


ゲームのデータは見える部分だけが最高の状態に保たれ、それ以外の部分は出来る限り省いて軽くするのが理想だと思う。そのためにゲームの作り手は遮断平面だのLODだのデータの先読み等に常に工夫を凝らす。


最適なリソースマネジメントをする上で最も重要なのはゲームコンセプトを最初の段階で明快に定義することだ。たとえばこのゲームでは主人公が一対一で敵と戦うゲームなのであれば、主要な登場人物は2名で済む、2人しかいないのであれば主人公と敵キャラに割くリソースも同等のものが望ましいだろう。周囲にモブキャラも必要だろうが、そこは主要人物よりも大分軽いリソースで描画すれば十分だ。主要な2人を真横から描画すれば画面を分割する必要も無くなる。背景を遠くまで描画するシチューエーションだって少なくなる。かくして対戦格闘ゲームというジャンルのリソース配分が決まって行く。


では主人公の周囲を100人以上の敵が取り囲むゲームを作るとしたら?この場合は主人公と100人の敵キャラを同じリソースを用いて描画するのは愚かな選択となる。常に画面の中心にいる主人公には優先的にリソースを与えるべきだし、大量に登場する敵に関しては、顔だって判別する必要性は低いであろう点から、少ないリソースで充分ということになる。主人公と同じレベルのリソースは最後に登場するボスキャラ等に割けば十分だろう。では地形はどうするか?360°全てを見渡す必要があるので、地形を広く設計する必要があるが、地形を戦術的に利用せずにあくまで人対人の戦いに焦点を絞るのであれば、地形はシンプルな形状で良く、そこまでのリソースを割く必要は無いだろう。重要なのは圧倒的な量の人だ。そんな感じで「無双系」のゲームのリソース配分が決まる。


ゲームを作る上でちょいちょい起こる悲劇的な出来事として、せっかくコンセプトを練ってリソースの配分を決めたのにそれをまったく理解しない人間が、余計なちょっかいを入れて台無しにってことがある。


少人数でのバトルに焦点を当ててその分一体一体のキャラクターのクオリティは非常に高いものにしたら、それに対して「もっと人数増やしたらいいんじゃない?」なんて言い放ったり、ある程度クオリティには目を瞑って大量のキャラクターを登場させたにも関わらずそれを全く勘定に入れずに「クオリティ低くない?」と断じてしまったり…。


使用できるリソースが有限な中でのモノづくりという部分において、ゲーム作りと車作りは似てる部分が多い。しかし、車作りにおいて速い車を作ろうとしたら荷物や人をたくさん載せられるっていう部分には目をつぶらざるを得ないのは当然の了解としてあると思うのだが、なぜかゲーム作りにおいてはF1マシンのようなレースカーとしての最高性能に大型トラック車のような大量の荷物の積載を同時に要求する人がまだまだ多いんだよこれが…。


速度を速くすれば当然荷物なんて載せる余計なスペースは削る必要があるし、荷物をたくさん載せたいなら車体を大きくする必要があるんだから車体は大きくなるし、当然速度性能は落ちる。その当たり前過ぎるトレードオフを理解しなければ最適なリソース配分なんて夢のまた夢だし、結果として碌なモノが出来上がらない。


Wiiで発売されたゼノブレイドがキャラクターのクオリティが低いと叩かれたことがあったが、結果的にゼノブレイドは非常に高い評価を獲得した。国内だけではなく海外での評価も高い。今度3DS版も発売される。


おそらくゼノブレイドは今までは当然のように求められていた筈のキャラクターへのリソース配分を減らし、それを別の分野、おそらく主にフィールドに対してリソース配分を大きくとったのではないかと思われる。発売前の一部ネットでの騒ぎがあったことなどから考えてもそのような決断を下すのには相当な勇気がいっただろう。今まで到達出来ていたクオリティを、しかも主要なキャラクターのクオリティが低くなるのを覚悟の上でリソースを制限するというのは思った以上に大変なことなのだ。しかし、結果としてモノリスソフトの決断が英断であったことは後の評価が証明している。ゼノブレイドクロスももうすぐ発売だし楽しみですな。



さて、ここで私は非常に懸念もしてるし期待もしているタイトルを挙げたいと思う。


そのタイトルとはFinal Fantasy15(以下FF15)だ。


Final Fantasy 15 TGS 2014 Trailer - YouTube


定期的に新情報が公開されてることなどからして、これはいよいよ本気で発売に向けて動いているのだと考えられる。だが、公開されている情報から判断する限り、人物一人のクオリティ、同時に登場する人間の数、フィールドの広さ、登場する敵キャラクター、車、瞬間移動っていうギミック、どれを取ってもリソース馬鹿食いもしくは実現までのハードル超高そうなのにどこも妥協する気配が見えない!リソースどういう配分にしてるんだろう?全然見当もつかない…。ゼノブレイドみたいなキャラクターにある程度妥協を許すみたいな選択ってFFに関しては許されないだろうしねえ…。



2014「FINAL FANTASY XV ジャンプフェスタ2015 トレーラー」 - YouTube


大丈夫なんだろうか?
真剣にF1で勝てるトラックを作ろうとしていないだろうか?


いやでも期待してるのも確かなのだ。発売されたら間違いなく買うだろう。まだ俺の心の中には「それでも…スクウェアなら…」っていう陵南高校のベンチのような気持ちが残っている。見るも無残なポンコツとなり果てるか、F1カーすらぶち抜く究極のトラックが生まれてしまうのか、それとも今あるどの車にも似ていない、FF15という全く新しいタイプの車種、いやゲームが誕生するのか。固唾を呑んで見守りたいと思う。