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スプラトゥーンにおける相互補完的な機能の在り方について

Splatoon(スプラトゥーン) [オンラインコード]

Splatoon(スプラトゥーン) [オンラインコード]

「スプラトゥーン」は「撃つ」という行為の中に多くの機能性を含んだゲームである。そして、「撃つ」という行為の対になるであろうイカになって「潜る」という行為にも多くの機能を含んでいる。



スプラトゥーン(Splatoon)プレイ動画- わかばシューター - YouTube


「スプラトゥーン」における「撃つ」という行為は、敵を撃破するための攻撃手段であり、地面の色を塗り替えることであり、勝利するための得点を獲得する手段であり、移動経路の設定であり、補給ポイントの確保である。


それに対して、イカに変身してインクに「潜る」という行為は、ヒトの形状の時よりも高速で移動する手段であり、ヒトでは移動不可能な壁等の特殊な地形にも移動可能になる手段であり、弾薬(インク)の補給であり、敵の目を欺く迷彩行為でもある。


これらの複数の機能を「撃つ」と「潜る」というシンプルな行為に無理の無い形で集約させたことが、「スプラトゥーン」というゲームの非常に大きな特徴である。前の記事でこのゲームが「機能集約型」のゲームであると述べたのはそういうことだ。


だが、このゲームは単に機能を少ないアクションに集約させただけではなく、機能の区分けの仕方、もっと言えば、互いに補うような形で配置された機能の相互補完が行われているゲームでもある。


例えば自分の弾薬であるインクを補充するためには、少なくとも自分の足下をインクで塗る必要がある、そのためには、他人のショットが当てに出来なければ、自分で「撃つ」ことで補給ポイントを確保するしかない。要はインクを補充する為には「撃つ」必要があるし、「撃ち続ける」ためにはインクの補充が必要である以上、インクに潜る必要がある。つまり、「撃つ」と「潜る」というアクションの間に「充填と開放」という対になる関係性をもたせているのである。


更に、このゲームが面白いのは、「潜る」状態で高速移動が可能になるところである。ヒトの状態でも移動は可能だが、イカ状態の方が移動の速度、自由度は圧倒的に上である。つまり、ヒトの状態が「静」の状態だとしたらイカの状態が「動」なのだ。


これが如何にユニークなデザインであるかは、TPSの代表的タイトル、「ギアーズオブウォー」と比較するとわかり易いかもしれない。この「ギアーズオブウォー」と言えばカバーアクションなわけだが、ギアーズにおけるカバーポイントに身を潜めるという行為は完全に「静」の行為であり、カバーポイントからカバーポイントへの移動が「動」ということになるだろう。そして「ギアーズオブウォー」における「充填」は主にカバーポイントで身を潜めた状態で行われるし、「開放」つまりは射撃の動作は、安全なカバーポイントから身を乗り出す「動」の動作を伴うことで行われる。(この辺、自分はギアーズオブウォーを主にシングルプレイしかしてないんで、対戦だとまたプレイフィールが変わるのかもしれない。)



Gears of war gameplay - YouTube



ギアーズオブウォー」の一連のアクション、「充填と解放」、「静と動」の在り方は至って当たり前のことを当たり前のこととして実行する、プレイする側としても非常に納得度の高い行為の連続だ。だからすんなり世界に没入する事が出来る。それに対して「スプラトゥーン」は弾薬(インク)を撃ちまくってる「開放」状態の特に移動行為としては「静」の状態で、弾薬を補充する、「充填」状態の時に、移動状態が「動」になる。「ギアーズオブウォー」とは「充填と開放」、「静と動」の関係性が逆の繋がり方をしているのである。


この結果スプラトゥーンはどのようなプレイフィーリングを持つに至ったか? 常にギアが上がりっ放しのアクセル踏みっぱなしバトルが各地で展開されることになった。「ギアーズオブウォー」はカバーアクションによって攻撃と防御に明確なリズムを作ったが、「スプラトゥーン」は「充填と開放」、「静と動」の相互補完によって超高速テンポのプレイリズムを作り出した。


ギアーズオブウォー」はカバーアクションによって圧倒的な防御力を得たのに対して、「スプラトゥーン」は「潜る」という行為で防御力の代わりに圧倒的な機動力を得たっていう言い方も出来るだろう。


ヴァンキッシュ」っていうゲームがあった事を覚えているだろうか?このゲームは「バイオハザード4」でビハインドカメラというTPSにおけるスタンダードなカメラの在り方を確立した、三上真司による作品である。このゲームは言っちゃえば三上真司なりの「カバーアクション」全盛以降のTPSへのアンサーだったんじゃないかと思う。彼は「カバーアクション」をゲームに含みつつも、主人公に圧倒的な「機動力」を持たせていた。かなり成功している部分もあるゲームなんだけど、全体を通してみると…、かなり惜しいゲームなんだけどねえ…。操作感触は非常に良いので興味ある人はやるといいと思う。


VANQUISH(ヴァンキッシュ) Gameplay1 - YouTube

VANQUISH

VANQUISH

スプラトゥーンに限らず、FPSの次の可能性を機動力、もっと言えば「身体」能力の拡張と考えていた人は他にもいる。元々CoD4を作っていたチームが独立して作った「Titan fall」やCoDの最新作「Call of duty advanced warfare」なんかも新しい「身体」機能の可能性について模索していたように思える。


Titanfall: Official Angel City Gameplay Trailer - YouTube

Official Call of Duty®: Advanced Warfare Reveal ...



スプラトゥーンがこれらのゲームを意識していたのかどうかは知らない。なんせ「マリオサンシャイン」すらあんまり意識してなかったと開発者自身が言ってしまうくらいだし、つーか任天堂失敗列伝マリオサンシャインの巻の準備してたのにどうしてくれんの!?ってまあこれはいいけど…。久々にプレイし直したんで、近いうちに書くけど…。


話を戻そう、偶然か必然かはさておき、スプラトゥーンが「ギアーズ以降」のTPSにどでかい一石を投じている事は確かだと思う。そしてそれは、世界的シューターの潮流である『身体」への着目という流れとも呼応する形になっている。そんなタイトルがシューターが最近は大分売れるようになっているとは言え、まだまだ大ブレイクしたとは言い難い日本においてすら大きな反響を巻き起こしているということはかなり驚異的なことだ。これについてもまだまだ言いたいことがあるが、今日はこの辺にしておこう。では明日ガチマッチで!

Splatoon(スプラトゥーン)

Splatoon(スプラトゥーン)