『スーパーロボット大戦』の懐の深さについて

 『スーパーロボット大戦』(以下スパロボ)というゲームシリーズがある。

 
sorewaterada.suparobo.jp



 『マジンガーZ』や『ゲッターロボ』、『機動戦士ガンダム』に代表される人気ロボットアニメに登場する主要ロボットとそれを操るキャラクター達が一堂に会して戦うそのゲームは、ファミコン時代に始まり、現在にまで続く人気シリーズとなった。 


 そんな『スパロボ』シリーズの何が優れているかと言えば、参照している作品との絶妙な関係性ではないかと思っている。


 どういうことかと言えば、そもそも、『スパロボ』は膨大な過去作品があることを前提としている。『マジンガーZ』『ゲッターロボ』『無敵鋼人ダイターン3』『聖戦士ダンバイン』『機動戦士ガンダム』『機動戦士Zガンダム』などなど……。さらにタイトルによって参照作品が変動するため、『スパロボ』に登場するロボットのTVシリーズを全て視聴するためには気が遠くなるほどの時間が必要になる。70年代から現代に至るまでのロボットアニメの歴史が凝縮されたタイトルだとも言えるだろう。


 だが、『スパロボ』の良いところは、そのような参戦作品群をさほど見てなくてもそれはそれで、大した問題なく楽しめてしまうところにある。実際私は、ガンダム系の作品はある程度見てるものの、スーパーロボット系の作品は、大まかなキャラクターとロボット、それと水木一郎の主題歌を知ってる程度だったが、特に問題なく楽しめたし逆に遡ってアニメを鑑賞したものも幾つもある。


 『スパロボ』というゲームは過去の膨大な数のロボットアニメの蓄積や歴史を前提としつつ、それが敷居の高さになっていないところが素晴らしいのである。


 当然のことながら『スパロボ』には既に知ってる作品、知ってるロボットやそれに搭乗するキャラクターの活躍をゲームという形式で追体験するという側面もあり、ロボットアニメを過去に夢中になった経験があったほうがより楽しめることもまた確かだ。というか、それこそがこのタイトルの主目的と言ってもいいだろう。


 つまりは『スパロボ』とはゲームの外側に存在する特定のアニメ作品を「知る前」にプレイしても楽しめるし、そのアニメ作品を「知った後」にその魅力を再確認するためのプレイをしても楽しめるという、事前事後の両面に対応できるというめちゃくちゃに自由度の高いゲームなのである。


 あまり批評的な文脈で語られることが多いタイトルでは無いと思うのだが、『スパロボ』シリーズと登場するアニメ作品の間には一種理想的な関係性が築かれていると言っていい。


 っていうようなことを前提として『十三機兵防衛圏』について私が連載を持っている「電ファミニコゲーマー」で原稿書こうと思ってたのですが、前提の説明が長すぎる(本当はガンダムと機械獣が真っ向勝負する超展開に眩暈を覚える感じとか2~3千字くらいスパロボについて書いてた)ので、付録として久しぶりに更新するこのブログに挙げる次第です。興味ある方は電ファミのこちらの原稿もどうぞ。

 
news.denfaminicogamer.jp