ポケットモンスターの担う役割

 ポケットモンスター(以下ポケモン)は、凄く重要なゲームだ。大げさに言っちゃうとゲーム文化の根幹を担う役割を背負っていると言ってもいい。なぜなら、ポケモンというゲームは、常に子供向けに作られており、子供はポケモンを遊ぶことで、ゲーム的なリテラシー能力を飛躍的に向上できるようになっているからだ。


 たとえば、ゲームやっている人なら、当たり前に知っている、Aボタンで決定、Bボタンがキャンセルっていう、ゲーム的常識を子供は当然のことだけど、知らないのだ。


 それ以外にも色々とある、ゲーム的なお約束、セーブするだの、レベルを上げるだの、ボスを倒すだのっていう諸々をポケモンに一度でも夢中になった子供は身体に刷り込ませるような形で覚えてしまう。こういった経験ってこれから様々なゲームをする上で非常に重要なことだと思うのだ。(あまりにも刷り込みが強すぎると、そういう種類のゲームしか出来なくなったりするんだけど)


 漫画という分野では、そういった役割を、「ドラえもん」が果たしてきたという。ドラえもんの非常にシンプルなキャラクターや、コマ割りに、子供の時期に触れることで、僕達は、知らず知らずのうちに漫画の文法というものを身体に染み込ませて来たのだ。漫画という分野がここまで隆盛を極めることになった理由には、単純に、先鋭的な才能に恵まれたというだけではなく、ドラえもんのような、ある種子供向けであることの責任をまっとうする漫画が存在したってことが確実にあるのだと俺は思う。


 こういう刷り込み機能が果たせていないメディアはヤバイ、下の世代に全く受けず、とりあえず客になってくれる、上の世代ばっかり相手するようにしていたのでは、滅びの道へ一直線なのは、確実なのだ。今は少子高齢化社会なわけで、当面は上の世代を上手に相手をすることが、繁栄の道かもしれないけれども。


 まあ他の分野はさておき、ゲームという分野においては、ポケモンを始めとする任天堂のゲームが、子供へのゲームリテラシー刷り込み作業を常に絶やさず行ってくれているので、子供が、ゲームからそっぽを向く日というのは、当面こないかなと、安心してたりするんだけれど。


 というわけで、ゲームフリークの皆様、そろそろぜんこく図鑑が洒落にならない分厚さになってきたけど、これからも頑張って子供達に向けてポケモンの新作を作って下せえ、お願いします。