生命保険はギャンブルなのか?〜20代独身者向け保険ガイド〜

 アフラックやアリコなどのガンガンCMしている民間の保険はギャンブルというよりも、
ギャンブルすら出来ないほどに追い詰められた状況の人にお金が支給される仕組みである。


 会社ごとの仕組みによって様々な違いがあるので、詳細は省くが、骨折すればお金が入るし、入院すれば一日ごとにお金が入るし、手術をすればそれでお金が入る。


 22歳で就職し、32歳くらいまでには結婚しようかなと考えている人は、10年間を社会人でありつつ、独身で過ごすことになるわけだが、その時に月に1万円かかる保険に入っていると、年間に12万円、10年間で120万円のお金がかかることになる。その際に一度も骨折、入院、手術などをしていなければ、10年間で支払った120万円はなんの見返りもなく失われることになる(この辺も保険によって色々あるんだけど、詳細は省きます)。


 10年間の間に、骨折を一回、盲腸で7日間の入院、一回の手術があったとする。それに大して、骨折で5万円、入院一日ごとに1万円の支給があり、手術一回で10万円の支給があったとしても、自分に支給されるのは、合計22万円である。30歳前後の場合だと月に3000円程度の保険だとしてもこれぐらいの支給はあるが、それでも10年間で、36万円の保険への出費に対して、14万円のマイナスになる。


 つまり保険というのは、相当重大な病気や怪我にでもならない限り、収支はマイナスになるものなのである。それでも結婚して子供ができれば、それだけ怪我や入院した時のリスクも高くなるので、保険には入っておくべきだと思われるが、今回の問題は、まだ特に家族もいない独身の時の話である。社会人になりたての独身の時、生命保険には入っておくべきなのだろうか?

保険には入っておくべきなのか?

 結論を言えば、僕は保険には安いの(月3000円程度)でも良いので、保険には入っておいた方が良いと思う。それは、保険というものは、怪我や、入院した時の、金銭的な負担を軽くしてくれる以上に、精神的な負担を軽くしてくれるからだ


 入院するほどの病気や、骨折などの大怪我をしたときというのは、肉体的なダメージは当然の如くあるが、それ以上に、精神的な負担が大きい、頑張って挽回しようにも、怪我や入院をしている最中はそれ以前の段階なわけで、とにかく回りの人のお世話になりながら過ごすしかなくなる。さらに、入院費などで少なくない出費がかかることにもなる。(入院費についても詳細は省くけど、部屋代無料の大部屋に入院すれば、月に7〜8万円くらいかかります。)


 つまり、保険が適用されるほどの怪我や病気をした時というのは、肉体、精神、金銭の3つの部分にダメージがかかることになるのである。そこで、効いて来るのが保険の存在である。保険に入って一日一万円程度の支給があれば、入院したときの金銭的な問題は、相当高い個室などに泊まったりしない限り、ほぼ無くなる。というか入院期間によっては、収支がプラスになってちょっとした収入になったりする。そして、何より、金銭的なことについて細かい心配をする必要が無くなるので、精神的な負担も大分軽くなる。個人的には、この金銭面での心配が要らなくなるというのは、非常に良かった。自分が入院する前は、高額療養費や、保険のことをロクに知らなかったので、借金生活すら覚悟していたのだけれど、保険に入っていたおかげで、金銭面での不安は消え、治療に専念することが出来た。

保険を考えることの難しさ

 保険というのを考える時に難しいのは、健康な時にしか保険というものを考えられないということだ。保険が本当に切実に必要な怪我や入院をした時に保険に入ろうとしても、当然のことだけど、保険には入れなくなっている。保険はギャンブルであるというのは、はっきり言ってしまえば、健康な人の論理である。実際に長期の入院や、骨折を経験し、保険の支給を受けた人間からすらば、ギャンブルに勝ったというより、保険に入っていたので、余計な心配をせずに療養期間を過ごすことが出来て有り難かったというのが本音のところなのである。保険は、金銭面以上に、精神面をケアするための仕組みなのである。


 それでも保険に入らなくても良いのではないか?と思う人も居るかもしれない。実際そんな重大な病気をする人など、かなりの少数派だし、少なくとも独身の期間くらいはそんな心配をする必要はないのではないかと思うかもしれない。


 自分としても、貯蓄を普段から定期的にしている人、近くに親身になって世話してくれる親類が居る人、精神的に無茶苦茶タフな人、などは無理に保険に入る必要は無いのではないかと思う。なんだったら月に3000円くらいの入院用貯金を自分でしていれば、下手に保険に入るより、かえって効率的にリスクに対処することも出来たりする。


 でも現実は逆で、貯蓄とか近くに頼りになる人も特に居ない人が、保険とかにもなんとなく入ってないで、貯蓄とかしっかりやってそうな人がさらにリスクに備えて保険にもキッチリ入ってるんだろうね…。まあそれはいいか…。


 でも、それでも保険にはやっぱり入っておいた方が良いと思う最後の理由は、
一度大きな病気(ガンなど)になってしまうとしばらくの間は保険自体に入れなくなってしまうからだ。


 既に保険に入っていれば、大きな病気などに一度かかっていても、保険はそのまま続行されるし、死亡保険や、別の病気や怪我などをした際に、お金が支給されるのだけれど、保険に入らないで、大きな病気をしてしまうと、当たり前の話なんだけれども、大抵の医療保険は初っ端ではねられてしまうのだ。だから30歳あたりで保険に入っていない状態で、もしガンにかかってしまった場合、ガンの完治にはおおよそ5年ほどの期間がかかるので、その5年間の間、保険に新しく入ることが難しくなり、無保険の状態での生活を余儀なくされるのである。

民間の医療保険はなんのためにあるか?

 民間の医療保険について考えるということは、長期的な視野にたって、自分の人生を考えるということである。そのため、先のことが全く見えない若い内に、保険のことを考えるのは難しい。だから、現在独身で、保険のことは結婚したり子供が生まれてから考えれば良いやって思ってる人こそ、一度くらいは保険について考えてみた方がいいと思う。その上で、保険に入らないという選択をするならばそれでも良いと思う。僕から言えるのは、保険という仕組みを、単にお金が動く仕組み、一種のギャンブルと捉えているとその本質を見失うということだ。保険というのは、自分が最悪な状態に陥った時に、余計な心配をしなくて済むように先に心配しておくシステムなのではないかと自分は思う。だから健康な今の内に色々悩んで決めるのが良いと思います。