NEWスーパーマリオブラザーズWiiを振り返る

 スーパーマリオブラザーズというゲームは、プレイヤーキャラクター、敵キャラクター、パワーアップアイテム、背景という大きく4つの要素によって構成されている。


 その要素を更に分解すれば、ファイアーボールの存在であるとか、入れる土管と入れない土管の違いであるとか、ゴール時のフラッグであるとか、豆の木なんかの存在が浮かび上がってくるが、それらはあくまでも枝葉の存在だと思う。


 シリーズが重なるごとにマリオシリーズには様々な追加要素が加わったが、基本的には上記の四要素から大きくはみ出るものでは無かった。プレイヤーキャラクターの延長線上であったり、アイテムの裏返しの存在(毒キノコなんかがそうですね)だったりした。


 NEWスーパーマリオブラザーズWIIはついに、その四要素に新たな要素を加えた。


 その新しい要素とは、プレイヤーと共に冒険する別のプレイヤーキャラクター、ちょっと気取った言い方をすれば「他者」の存在である。


 このゲームは、「他者」の存在をたんなる自分にとって都合がいいだけの存在にはせず、時に邪魔な存在にもなるようなデザインがなされている。


 頼りにもなるし、邪魔者にもなる「他者」と、一緒にゲームプレイした時に最大の魅力を放つのがこのゲームの最大の美点なのだが、これは、既にプレイした人には今更説明するまでも無いだろう。


 先日の日本ゲーム大賞で大賞を受賞した本作だが、僕はこのタイトルは多くの人に愛された良く出来たゲームであるという事実とともに、スーパーマリオブラザーズというとっくに完成され尽くしたと思われていたゲームに、恐れることなく新しい要素を追加し、さらにそれを奇跡的なバランスでまとめることに成功した、非常にイノベーティブなタイトルであるとも思う。初代以来、始めて本質的に進化したのが本作だ。


 そして、その邪魔で頼れる「他者」の存在は、スーパーマリオブラザーズの更に前作にあたる、マリオブラザーズで既に存在していた「他者」だったということ、つまりNEWスーパーマリオブラザーズWIIはマリオの原点を現代にアップデートさせた作品であったということも含めて、歴史的な意義も深い一作だと僕は考える。


 はい、というここでここまで読んできた人は、本質的に変化したのは、マリオ64じゃね?とか思うでしょう。その通りですね。ってことでその辺の事情に本格的に触れるために、もうそろそろ任天堂失敗列伝第四回、「マリオ64の巻」を今度こそ書くぞー。

 とかなんとかいいながら幾歳月…。