アメイジング・スパイダーマン感想

 見て来たので感想でも書いておこう。ネタバレ全開なので気をつけてね。

 サム・ライミ版からのリブート作品ということで、どうしたって前三部作との比較で見てしまうんだけど、最大の違いはやっぱ主人公の両親の存在を相当重要な存在として、今作では描いてるってことだと思う。


 そしておそらくは新三部作の相当核心部分に来るテーマとして、「親子」というものがあるのではないか。


 今作の場合、前作でもあった、科学者としての才能ってのがかなり重要なものとして描かれてる。本来なら身体から発射されいた筈のスパイダーマンの糸を自家製の糸射出装置にしたのは、主人公の科学的才能が、相当なものであることを示すためだろう。前作でも一応科学的な才能にも恵まれているような描写はあったものの、ヒーローとしての活動とは完全に別れていたように思う。


 ほんで、今作のヒロインもまた科学的な才能に恵まれてんのね。主人公に優るとも劣らない才能の持ち主っていう。まあ当然惹かれ合いますわなっていう。


 要は新シリーズの主人公達は、ヒーローとしての自分と同じくらいプライベートの自分達の才ってものも又非常に重要なものとして扱われてんですよね。前三部作よりも、自分達の進路とか仕事ってものが重要なファクターになってるわけです。くそっ猫にじゃまされて執筆がすすまなえいいが


 でもこれだけだと親譲りの才能に恵まれてて更にヒーローとしての超人的な能力も手に入れて、可愛くてそれ以上に自分の才能の理解者になってくれそうな恋人にまで恵まれてるっていう最強リア充のいけ好かないストーリーになりそうなのが、そうなってないのが、この映画の見事なところで、そしてそこに一番貢献してくれてるキャラが主人公の叔父さんなんですね。


 前三部作見た人なら登場した瞬間に「あ、死ぬんだなこの人」って分かっちゃうキャラなのに、やっぱり死ぬシーンですごく悲しくなるのが、この映画の一番の美点なんじゃないかと思う。そうなっているのは、演じている役者の見事さであり、丁寧な演出の妙でもあるんだろう。


 おそらくこの叔父さんには主人公の父親のような科学的な才能は無いし、当然ヒーローとしての超能力も無い。言っちゃえばちょっと冴えないおっさんで、父親の画されたノートの存在に気付いて、科学者としても覚醒してく主人公の見据える世界なんてちいとも理解出来ないんだろうし、ヒーローになれるだけの超能力に目覚めた主人公の気持ちなんかもさっぱりわからないんだろう。それでもやっぱり主人公の親のようなそんざい、であり、ヒーローとしての在り方を指し示すのはこの人しかいないのである。この人が主人公にブッサリと楔打ってくれてるから、単なるチャラけた話になってないのだ。主人公にちょいちょい絡んでくるジャイアンキャラが、叔父さんが亡くなった瞬間に映画版ジャイアンキャラになるあたりも、この映画が「親子関係」というものを大切に扱おうとしている証拠だろう。


 ヒロインの家族の描き方も良かったですね。真面目で堅物な父親の年頃の娘に対する微妙に距離感量りかねる感じとか、ちょっと父親に冷たく接しちゃったヒロインが父親に謝る時の優しさとか。


 んで、最後のクライマックスのクレーンシーンの発端になってるのも子供を守ってくれたスパイダーマンへの恩返しなんですね。こんだけ並べれば今作のキーが「親子関係」であることはわかってもらえたんじゃないでしょうか。


 サム・ライミ版に比べるとオタク的なナイーヴさの無い健全な主人公達みたいな言われ方を一部でされてるみたいですが、今作の主人公達って親を失うっていう子供にしてみれば最大クラスの傷を負ってるわけで、単なる明るく健全な主人公ってわけでは無いと思います。そして、親を失った主人公なんていうベタ中のベタな主人公をフレッシュに描く今作の監督の手腕は相当なものなのではないかと思いました。二作目が楽しみです。