スピードとスピード感の違いについて

 どれだけ速いスピードが出ているからといって、そこから必ずしも人がスピード感を感じるとは限らない。


 たとえば、飛行機は時速800km以上の速度で移動するが、離着陸の時などを除けば、圧倒的な速さを感じることは少ない。


 逆に自転車で時速30kmほどで移動している時、多くの人はそこから速い速度で移動している感覚、所謂「スピード感」を感じるのではないかと思う。


 「スピードがある」ということと、「スピード感がある」ということの間にはかなり大きな隔たりがある。


 近代の科学技術の発達は、物理現象としての「速さ」を相当なレベルまでコントロールすることを可能とした。そして、その発達が一段落して以降は、おそらく実際の「スピード」をどうにかするよりも、「スピード感」をどうコントロールするかが問題になるのではないかと自分は考えている。


 ここでは「スピード」について書いたが、「自由」についても同様に実際に自由であるかどうかということと、自由を感じ取れるかどうかには大きな隔たりがあるのではないかとも思っているのだけれど、このことについてはまた別の機会に譲るとしよう。