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JRPGが希求するもの〜レベルデザインなんていらない 中編〜

ゲーム

レベルデザインなんていらない 前編 - 枯れた知識の水平思考

 はい、つーことで↑この記事からの続きでございます。FPSはシステムとして完成されてるからシステムに下手に手を入れずにレベルデザインに注力するのが得策なジャンルであるってことと、JRPGはかつて確かにシステムに手を加えることで、ユーザーを熱狂させる時代があったってなお話でしたね。今回はその続き、JRPGというジャンルはそもそも一体なにを目指しているジャンルなのかということを考えていきたいと思います。その前にまずはこのことについて語っておかねばなりますまい。

そもそもレベルデザインってなんなの?

 本来なら前の記事の時点でもうちょっと説明すべきことなんですが、改めてレベルデザインとはなんなのでしょうか?多くの場合レベルデザイン=プレイヤーが闊歩する地形の形状や性質を指し示す場合が多いのですが、それは必ずしも正確ではありません。レベルデザインとはゲームのマップデザインのみならず、ゲームイベントが起こる順序や、難易度の設定など、ゲームデザインの全体であり、根幹を指し示す言葉なのです。だから、難易度調整が絶妙な縦スクロールSTGレベルデザインがよく出来てるという言い方が出来るし、今更言うまでもないことですが、スーパーマリオブラザーズは横スクロールアクションゲームとして、現在においても最高クラスのレベルデザインを有したゲームなのです。そして日本が生んだ数々の名作、傑作ゲーム達は大抵の場合、このレベルデザインが非常によく出来ています。


 まあだから日本のゲームデザイナーがレベルデザインに注力しないなんて言説は、日本のゲームの歴史をざらっとおさらいするだけでまるでデタラメなのは一目瞭然なんですが、なんでここ数年になってレベルデザインレベルデザインとやたら言及する人が増えたんでしょうか?


 それは一言で言っちゃえば外国かぶれという言葉で説明がつくでしょう。FPSというジャンルにとってレベルデザインが如何に重要かは前の記事で述べた通りですが、それをジャンルの特性とか考えないで、最近ブイブイ言わせてる外国のゲームメーカーはレベルデザイン(地形のデザイン)に注力してるらしい、それってつまり最近イマイチな国内メーカーはレベルデザインに注力してないから駄目なんだなとか短絡した結果がレベルデザイン(マップデザイン)への誤解とか過大評価の根源になってるのではないかと僕は考えます。確かに昨今のJRPGはマップデザインという意味ではちょいと適当な部分はありますが、別にJRPGは本来の意味でレベルデザインに注力していないわけではないのです。ということで、JRPGはマップデザインにあまり力を入れずに、どこに力を入れているのか?要はJRPGならではのレベルデザインとはどのようなものなのか、ということを以下に述べていこうと思います。

JRPGの始祖

 結論から言っちゃいますが、JRPGというのはゲーム中のキャラクターの爆発的な成長をプレイヤーに擬似体験してもらうことを目標に設計されたゲームジャンルです。 成長と簡単に言ってしまいましたが、それは生半可な成長ではありません。その辺によくいる普通の少年が、ゲームの終盤には地球を3回くらい余裕で破滅へ導けそうなくらいの成長です。


 それほどの高い目標地点を設定してしまった以上、リアリズム的表現なんて構ってる暇はないし、本当に現実的なリアル感溢れる表現をしようとおもったらお金がいくらあっても足りなくなるんです。だからダメージ表現は数字を画面に一発、9999でいいんです。9999こそがJRPG的なリアリズムなんです。キャラが棒立ち?バカでかい剣をいとも簡単に振り回し過ぎ?そんなん知るかよ。世界の破滅(を目標にしてるラスボスを意図も簡単に屠れるほどの圧倒的な力、及び成長)を希求してやまないジャンル、それがJRPGというジャンルなんですよ(キッパリ)。


 こんな異様なゲームジャンルが他にあるでしょうか?いやない。これが海外の近未来RPGとかだったら、わざわざ成長云々言ってないでに主人公にポンと核弾頭渡しちゃうんですよ。その辺が海外ゲームメーカーのリアリズムであり、JRPG的な観点から言えば味気なさでもあるのです。


 どうしてこんなことになってしまったのか?それには色んな要因が絡まっていると思われます。一つはやはり日本独自の文化、漫画の影響です。AKIRAやらドラゴンボールなどの少年の精神力やらなんやらが爆発して圧倒的な力のインフレを起こし、それを原動力に物語が進むっていう一連の作品群はどう考えても日本のRPGに深い影響を与えているでしょう。ちょっと話が逸れるんですが、日本の少年漫画のキャラクターってのは自分の内面の力を攻撃力に変換して戦うみたいな内容が多くて、銃を使って戦う漫画が非常に少ないのね。なぜ銃を使わないかと言えば、内面の力を銃に反映させて攻撃するって構造がわかり辛いからでしょう。だったら直接かめはめ波撃ったほうが百倍早いし。まあちょっとこれは蛇足。


 そしてもう一つ考えられるのが、やはりこれも日本独特の、どんなものにでも道を見いだしてしまう性質ってやつです。剣道とか華道とか茶道とかね。前の記事のリンク先で言われてたゲームシステム病ってやつとも通じることなのですが、日本人ってなぜかRPGの戦闘一つとっても一つの道を見立てて独自に磨きを掛け始めたりするし、縦スクロールSTGとかだって、どう考えても不自然な、非現実的な世界なんですが、そこに一つの道を見いだして、20年以上も延々と作り続けたりする民族なわけです。なんでこうなのかはちょっとよくわからんのですが、この辺は踏み込んで語る為にはさらに詳細な検討が必要なので、ボンヤリとさせておきます。正直自分の手には余るし。とりあえずそういう性質がある国民性だくらいは言えるんじゃないでしょうか。


 JRPGがこのようないびつなジャンルになった理由、それは、誕生した当時は、探検であり、成長であり、命を掛けた戦いであった筈のRPGというジャンルが、もともと爆発的成長物語を非常に好む少年少女達がたくさんいる日本に伝わることで成長要素という一部分だけに特化した磨きが掛けられ(道を見いだされ)、探検などの要素が減退し(この理由はまた後述)、成長要素や独特の戦闘システムが異様に緻密に構築されるようになってしまったからだと僕は考えます。つまり、JRPGというジャンルは確かに地形、マップデザインという観点からはレベルデザインがいい加減なゲームと言えるのですが、成長要素や戦闘システム(それもかなり独特なシステム)においては、非常に緻密なレベルデザインがなされたゲームだと言えるのではないかと僕は思うんです。つまり、JRPGとは自分の外側ではなく、内側、ようはキャラクターの身体能力のレベルデザインをすることで誕生したジャンルなんですね。多くのJRPGには大量の敵キャラが登場します。100体を超えるなんてザラです。FallOut3なんかと比べると断然多いです。なぜか?それはプレイヤーの成長を確かめる存在として、色んな種類、色んな段階の強さの敵キャラクターが存在してくれないと困るから、なんですね。このような敵キャラクターのバリエーションの多さやそれを登場させる場所を一つ一つ設定していくことだって立派なレベルデザインの一環なんですが、レベルデザイン云々言う人ほどJRPGの敵キャラの多彩さは触れてくれないんですね。まあ最近のJRPGは敵キャラの登場頻度、登場箇所についてもちょっと芸がなかったりする場合もあるからしょうがないっちゃしょうがないか。


 そしてそんな緻密な成長にまつわるレベルデザインをする発端となったタイトル、JRPGの始祖とも言えるタイトル、それはズバリファイナルファンタジーなのではないかと僕は思うんです。これには異論反論いろいろあると思いますが、語り出すとまた長いんで、詳細についてはまた後述ということでご勘弁ください。

JRPGは日本の中心的なジャンルなのか?

 なんか永遠に終わらなくなるような気がしてきたので、結論を急ぎたいと思います。JRPGについてこんだけ色々述べておいてアレなんですが、別に僕自身特に現在のJRPGが好きってわけではないんですよ。相当マンネリ気味なところがあるし、ゲームシステム病と言われてもおかしくないようなどうでもいい小手先のシステム改変が目立つのも確かだと思う。でもね、そもそも思うんだけどさ、日本でRPGが盛り上がったのって、最初はファミコン時代で、そっからSFC時代になり、スクウェアが数々のヒットタイトルを輩出することで、爛熟期を迎え、僕が提唱するJRPGの起源、FF5も発売され、日本のRPGからJRPGへと独自の変化/進化を遂げた。そしてそれが初代プレイステーション時代になってFFシリーズは7でドラクエを凌がんばかりのバブル的絶頂を迎え、同時にJRPGも絶頂の時代へと至り、FF8でそのバブルが壮絶に弾けたという認識を僕は持っている。


 つまり、日本市場におけるJRPGのピークってさ、今から二世代以上前なんだよね。


 では海外で人気のFPSのピークは何時か?と言われればそれはおそらく今、この時代でしょう。現状の状態からさらに成長する為には、もっと家族で遊べるFPSみたいな、ちょっと目先を変えるタイトルが必要じゃないかな?意表をついて、任天堂がその辺を狙ったタイトル出したら面白いかなとか思うけど、少なくとも現状のリアル戦争ものだったり、未来SFモノのFPSは内容的にも市場的にもピークを迎えたと言って良いと思う。


 なぜ、FPSは今現在ピークを迎えてブイブイ言わせてるのに、JRPG達はピークを過ぎたら、一部人気タイトル以外はジリ貧状態なんでしょうか?やっぱりゲームシステム病だからでしょうか?厨房臭過ぎるからでしょうか?コマンド入力式だからでしょうか?俺は違うと思うよ。原因はJRPG側にあるんじゃなくて、海外市場で家庭用ゲーム機におけるFPS市場が盛り上がった時期がJRPGより断然遅いってことじゃないでしょうか。


 家庭用ゲーム機におけるFPSの歴史はSFC時代からウルフェンシュタイン3DなんてSFC無茶しやがってなタイトルがあったりしましたが、本格始動するのはN64で007ゴールデンアイが700万本というメガヒットを記録してからではないでしょうか?それ以前はFPSというジャンルはおもにPCで興隆していたジャンルだったと思います。この辺ちょっといい加減なので、間違ってたらごめんなさい。でもN64というゲームハードは開発が非常に難しいことで知られており、あまり色んな会社がFPSを作れるというわけでもなかったのです。ゴールデンアイというタイトルはN64をフルに駆使することが出来る変態的な技術力を持ったレア社という会社と、その開発をサポートしてくれる任天堂の存在がなければ生まれていなかったでしょう。このタイトルはかなり例外的な存在であり、後追い的なタイトルが続々生まれ、家庭用ゲーム機でのFPSムーブメントを起こすまでには至らなかったのではないかと思います。


 海外で家庭用ゲーム機に一種のFPSムーブメントと呼べそうな状況が起きるのは、さらに次の世代、PS2、GCXBOXの時期でしょう。つまり現在の一つ前の世代です。この世代では、色んな会社から色んなFPSタイトルが発表されました。タイムスプリッター、メダルオブオナー、007ナイトファイア、そしてなんと言ってもHALO。要は、家庭用ゲーム機におけるFPSというジャンルは、日本で盛り上がったRPGというジャンルよりも随分後から盛り上がってきたジャンルなんです。なんせゲーム機の性能をフルに使わないと出来ないからね。


 長々とRPGの盛り上がった時代とFPSの盛り上がった時代を検討することで僕が何を言いたいのかと言えば、FC時代から親しまれてる分ピークが早く来てしまったジャンル、JRPGと、比較的最近になってようやくピークを迎えつつあるジャンル、FPSを同じ土俵で比較するのって意味無いっていうかおかしくないか?ってことなんですよ。前振り長くてごめんね。



 つーかですね。確かに海外市場におけるFPSというジャンルはたしかに中心的存在と読んでも過言ではないと思うんですが、JRPGってさ、もっとも愛好されてる筈の日本市場ですら、中心的な存在ではとっくの昔に無くなってないか?って思うんですよ。


 http://homepage3.nifty.com/TAKU64/rank2009.htm

 ↑このサイトの2009年の年間ランキングを見て下さいよ。JRPGって何タイトルランク入りしてますかね?数えるほどしか無くありませんか?ドラクエとかポケモンが一位と二位占めている!って言うかもしんないけど、ドラクエとかポケモンってJRPGかっていうとちょっと違うような…。そもそもJRPGけなす人って大抵ドラクエポケモンを除外してるような…。まあでも入れたとしても別にRPGなんて一部の人気タイトルが相変わらず人気ってだけで、最先端の日本のゲーム業界、ゲーム市場を映す鏡では無くなってるってことはこのランキング見れははっきりわかると思うのだ。


 海外の最先端のゲームを持ち上げて、日本の現状を嘆く人にありがちなんだけど、海外の最強タイトル、最強ジャンルと、日本の弱ったタイトル、弱ったジャンルとを比較することで、勝ち誇ってるって図式ってどう見てもおかしいんだよね。比べるなら、同じ方向性のタイトルを比較検討するか、もしくは海外の最先端タイトルと、日本の最先端タイトルを比較し、両者の強み、弱みを検討するって図式にしないと。だから鬼の首とったようにJRPGを揶揄してる人ってもしかして日本の最先端ジャンルをJRPGなんだと勘違いしてるんですかね?すいませんが、それ思いっきり勘違いしてますよ。ランキング見れば明白じゃないですか。今、日本市場語るならトモダチコレクションじゃないですか。


 でもなぜかこの手の任天堂タイトルって別枠扱いになっちゃうんだよね。それってやっぱりおかしいと僕は思います。2000年代半ばから後半にかけてもっとも勢いがあったゲーム会社ってだれがどう見ても任天堂だし、任天堂がやったことっていうのを例外扱いしてないで、ゲームの流れできちんと位置づけるって作業をしなきゃいけないと思う。ということで、次回は、あと一ヶ月ちょっとで終わる2000年代、いわゆるゼロ年代のゲームシーンを総括するような内容、しかも任天堂と海外の動きをどっちも例外扱いしないでキッチリ位置づけるということをしてみたいと思います。でもその前にJRPGの起源として提唱したFF5のことも語りたいから次は後編じゃなくて、中中編になるのかな?本当に終わるのかコレ?つーか最初のレベルデザインの話がどんどんどうでもよくなってるような、、まあ次回、「2000年代、ゲームシーンを巡る二つの中心点」を近日アップ予定なのでご期待下さい!


 最後に一言、頑張れ!スクウェアエニックス!!んでもってそろそろロマサガ2のリメイクをだしてくだせえ