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モンハン4の高低差を褒め讃える

ゲーム

 結論から言うけど、モンハン4における高低差の概念は素晴らしい。本当に素晴らしい。どの辺がすばらしいかを自分なりに解説してみよう。



 3D空間において高低差がどのような意味を持つかといえば、プレイヤーの視点の高さが変わることで、景観を容易に変化させられるってことが挙げられる。ま、単純に低いところに立って回りを見渡せば周囲を仰ぎみるような視点になりがちだし、高い場所で回りを見渡せば遠くまで見渡せる、眺めの良い景観が得られるってわけですな。


 でもそれってゲーム的には諸刃の剣でもあって、安易に高低差を導入すると、延々狭い視界でプレイヤーにプレイを強いたり、折角眺めの良い高所に登ったと思ったら、遠くまで描画することで処理不可が上がって処理落ちだらけで結局プレイ感がグダグダになったりする。相当に高度な技術力が無い限り、高低差の概念を取り入れた3D空間のデザインは止めとくのが得策だろう。ましてや現行機としては決して性能が高いわけではない3DSで空間をデザインするならなおさらだ。


 更に、3Dゲームで高低差の概念をゲーム性に取り入れましたなんて言葉にしちゃえば当たり前の事でしかなくて、ゲームを宣伝する上での売りに全然ならないってのがある。最近のゲームで3Dのゲームなんて珍しくないし、高さの概念があるのなんて当り前っちゃ当たり前なんだけど、高さの概念があるってことと、高さの概念をゲームの要素として取り入れるってことは全然違う。


 そして更に更に、高低差の概念を取り入れたからと言ってゲームが必ずしも面白くなるわけでも無いっていう大問題がある。バーチャファイター3において大々的に高低差の概念を取り入れたものの、過度にゲームの複雑化を招きバーチャファイター4では高低差の概念をほぼ取っ払ってしまい、それが結果的にはユーザーに受け入れられたことを鑑みても、高低差ってのは、ゲームを一気に面白くしてくれる魔法の概念では無いのだ。


 つーかモンハン自体、モンハン3で水中という要素で高低差の概念をゲームに取り入れてみたものの、あんまり好評ではなくて、結局モンハン4では水中要素は無くなってるわけだ。3D以降のゲームって、単純な足し算でゲームが面白くなるわけじゃないってことが白日の下に晒されちゃって大変だよね本当に。


 そんなわけで、大々的に売り出す上での売りとしては弱いし、相当上手くやらないと面白くなるわけでもない厄介な高低差の概念をモンハン4はメインの要素として取り入れることを選択し、結果そうすることで、ゲームがすごい面白くなってるんだからこれは素晴らしいとしか言い様がないじゃないか。


 特に決して性能が高いとは言えないし、ポリゴンも潤沢に使えない3DSというハードでここまできっちり高低差をゲームの要素として取り入れるのはかなり調整に時間が掛かったと思う。地面の角度を何度までが坂道で、何度までが壁で、何度からがジャンプできる崖として認識するかなんて、そうとう細かく調整しないと駄目だったろうし、エラい高い場所から遠くを見渡せる場面が頻発するあたり、処理落ち対策が相当大変だったんじゃないだろうか。


 ゲームの売りにはなり辛いと散々書いたが、それは、あくまでゲームをやってもらう前の話だ。一度ゲームをやって面白いとなれば話は別である。今後モンハンにおいて高低差の概念は必須の要素になっただろうし、多くのモンハンフォロワーのフィールドが平面的なフィールドであった場合、モンハンとの質的な差は歴然となるだろう。そういう意味でも今回の高低差への挑戦は非常に大きい。


 以前自分は、モンハンというゲームはプレイヤーキャラクターや敵モンスターの身体性能を把握することに特化したゲームで、空間を把握する要素は薄いゲームだと考えていたのだが、モンハン4においてはその認識を改めなくてはならない。モンハン4はプレイヤーキャラクターと敵モンスターの身体を把握しながら、つねにフィールドの高低差や位置取りを把握する重要性が高い空間把握型のゲームに変質した。


 そして、そうやって新しい要素を足せば、ゲームは複雑化し、シンプルな楽しさが失われたりもするものだが、モンハン4は高いところから低いところへ「ジャンプ」することが出来るようになることで、シンプルでプリミティブな爽快感を新たに得ることに成功している。


 ゲームの根本に手を加えながら、そうすることで陥りがちな罠を巧妙に避けつつ新しい面白さのみ抽出するという離れ業を見事成功させているのがモンハン4というゲームである。これは本当に素晴らしい達成だと思う。制作陣に敬意を表したい。