今になって改めて思うんだけど、やっぱりピクミンは重要な作品だった。
世界最高のゲームクリエーター、宮本茂の転機になったソフトだと思う。
ゲームってのは、操作するエンターテイメントだ。
だから操作すること自体が楽しいゲームは、それだけで、
傑作と呼ばれるに値する。
宮本茂のゲームはどれも操作するだけで、楽しい。
だから彼の手がけるゲームはどれも傑作だ。
彼のゲームの楽しさは、技術を会得する楽しさだ。
練習することで、どんどん自分の腕が向上していく、それが楽しい。
自分が的確な操作をすれば、ゲーム中のキャラクターはそれに合わせて正確に動いてくれる。
自分が駄目な操作をすれば、ゲーム中のキャラクターはそれに合わせて駄目に動いてくれる。
彼のゲームではゲーム中のキャラが自分の身体の一部のような錯覚をするほどの、一体感が得られるのだ。
しかし、ピクミンでは、今までの彼の手がけてたゲームでは考えられないことが起こる。
ピクミンはこっちの操作に関係なく、転んでしまうのだ。
これは普通のゲームではありえないことだ。
考えてみて欲しい、レースゲームでこっちの操作に全く関係なく、
車が自然に故障して爆発炎上したら、あなたはその現実を受け入れられるだろうか?
タイムアタックで最高の走りをして、ニューレコードを出せそうなとき、
最後のコーナーでそんな惨事が起こったらあなたは平静を保てるだろうか?
しかしピクミンではそれが起こる、自分の最善の操作をあざ笑うようにそれは起こる。
そんな不条理を目の当たりにした私はこう思った。
ピクミン超かわええ
恐ろしいことにその不条理ぶりこそピクミンの魅力になってしまっているのだ。
大天才、宮本茂はついに操作する楽しさを超えた、操作しきれない、どれだけ自分が努力したとしても、そこからどうしても零れ落ちてしまう部分すら、ゲームの魅力の一つとして、デザインしてしまったのである。
そんなピクミンの魅力をさらに推し進めたのが「Nintendogs」である。
このゲームでは、自在な操作による楽しさ以上に、
自分の思い通りにならないことが返って楽しいっていう、ピクミン的魅力が、さらに強化されている。
宮本茂は本当に天才だ、
彼は未だに進化しつづけているのだ。ゲーム業界の範馬勇次郎である。
そんな彼が手がける最新作「Wii Music」ではどんな新境地を見せてくれるのか。
俺はそれが楽しみでしょうがない。